病院に着くと、さっき目を覚ましたと言う父と面会した。
本当に驚いたが、山場は抜けたらしく、本当に良かった。
少し頼りなく見えた父と話し、病院の先生とも話した。
どうやら、役所に行き様々な書類を貰って来なければならないとの事だ。
そこで私は近くのホテルに泊まり、次の日から、病院と役所をバスに乗り、行ったり来たりした。
なかなか時間のかかるバスの往復路。
何度も行ったり来たりするので、道の景色も何となく覚えた。
まさか自分がこんな時にこんな事をこんな所でするなんて。
人生とは不思議な道を用意する。
用事が終わると、ひとまず帰り、後日、父は実家の側へ越してきた。
ここなら何かあっても誰かしら頼りに出来るからねと、母が考えたそうだ。
そんな訳で、私が1歳の頃から、子供を産む年齢に至るまで、遠くにいて、一時は消息も不明になっていた父が、割と近所に住む事になったのだ。
病気の事は心配だが、その事があったからこそ近所に居てくれるので、私は昔よりもある一定の割合で安心している。
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